歳時記読書、はじめませんか?
ようこそ、137号室へ。伊佐奈 瑛(@IsanaAkira)です。
今日のテーマは歳時記。「名前は聞いたことあるけれど、歳時記ってなに?」という方も多いのではないでしょうか。
歳時記とは、四季折々の自然の移り変わりや年中行事、風習などを季節ごとにまとめたもの。特に俳句の「季語」を集めて解説と例句を加えた本のことを指します。
137号室管理人・伊佐奈は「歳時記を1年かけて読破する」という2026年の目標を立てたのですが、この歳時記読書がとても素敵だということに気づきました。
みなさんも、一緒に歳時記読書をはじめませんか?
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2026.01.18 21時公開
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📢今回の見どころ


歳時記って、なに?
冒頭で少し触れたとおり、歳時記とは季語の辞典のこと。風習や季語が季節ごとに掲載されている書物で、俳句を作るときには欠かせない資料でもあります。
歳時記を開くと、たとえば新年なら「元日」「元旦」「鏡開き」といった言葉が並びます。一見すると誰でも知っているような単語ばかりのように思えますが、ひとつひとつ読んでいくと意外な発見があってかなり面白いのです。

元日と元旦は違うって、知ってる?
- 元日:1月1日全体のこと
- 元旦:1月1日の朝(日の出から正午まで)のこと
元旦の「旦」の文字は、地平線から太陽(=日)が昇る様子を表したものであることから、元旦とはお正月の日の午前中(朝)を示すのです。
このように、歳時記をきっかけに文化や風習、季節のことを深く知ることができるのが歳時記読書の魅力。
ただし、漢字の成り立ち等の情報は歳時記には書かれていないため、「そうなんだ!」と思うことがらに出会ったときにさらに一歩踏み込むイメージで疑問を深掘りするのがおすすめ。

ただ「読む」だけだと飽きちゃうけど、歳時記を「興味のきっかけ」として捉えると楽しく読み続けられるよ!
歳時記、多すぎ問題
この記事を読んで「面白そう……歳時記、買いに行こう!」と書店に足を運んでくださったみなさま、ありがとうございます。
おそらく、いま、大量の歳時記が並んだ書棚と対峙されていることと思います。
そう、歳時期はとんでもなく種類が多いのです。大きなものから小型のもの、季寄せと呼ばれる吟行用のものも含めると本当にキリがありません。
おすすめは角川の「俳句歳時記」
伊佐奈のおすすめは角川書店編『合本 俳句歳時記』です。
俳句を作る趣味がない限り、歳時記を読む場所は自宅で、外に持ち出すことはほとんどないと思うので持ち運びやすさよりも内容の充実度を重視するのがおすすめ。
持ち運びやすい歳時記や写真入りの歳時記もありますが、歳時記を買わなくても知っているような内容がほとんどだったり、写真を見て満足してしまい周りの風景に目を向ける機会が減ってしまう可能性が高いため、個人的にはあまりおすすめではありません。

これがいい! と思う歳時記を選ぶのがいちばん!
イチオシ(※完全主観)は虚子編

歳時記読書に使うだけなら、角川歳時記のほうがおすすめ!
イチオシと書いておいて最初に注意書きとはどういうこと? という話なのですが、伊佐奈が個人的に最も好きな歳時記は高浜虚子が編集した虚子編の歳時記。
というのも、伊佐奈は高浜虚子が大好きだからです。

美しく真面目な視点と、品のある茶目っ気が共存する虚子の世界観がたまらなく好きなのです。同じ理由で、高浜虚子という人物も大好きです。
ただし、虚子編は旧字体かつ表現も古く、現代の常識とは異なる表現(完全に間違っている説明含む)もあるため、読みにくいだけでなく情報の精査・取捨選択力も求められます。
推しの俳人がいる場合は、その人が編集した歳時記を手に取ってみると世界の見え方が変わるはず。
「好み」も大事な要素
ホトトギス新歳時記も購入してみましたが、解説文があまり好きになれなくて角川の俳句歳時記ばかり使っています。
このあたりは完全に好みの領域。どの歳時記と相性がいいかは、読んでみないとわかりません。
読み進めていく中で「ちょっと違うな」と思う場面があったら別の歳時記を試してみるのがいいと思います。

歳時記の読みかた
一気に読まず、「今日」に関わる項目を少しずつ
歳時記読書を続けるコツは「いま」に関係する部分を何度も読み返すこと。
最初から順番に「今日は◎ページ読むぞ!」というやり方では、きっと苦しくなってしまって長続きしません。
また、せっかくの季語も心に響かず、日々の風景に溶けているもう一つの風景にも気づかないまま、いつもと同じ日々を過ごすことになってしまいます。

言葉を通じて、季節を感じるイメージ!
昨日読んだところと同じ場所を、今日もう一度読む、ということもたくさんあります。
すると、今まではさほど気に留めなかった季語にふと目がとまって「あっ」と思う瞬間に出会うはず。
ニュースや新聞などで、季節の行事や風習の話を聞いたあとだと、意識していなくても「そういえば、さっきこの話題出てたな」と興味が湧いてくるのも歳時記読書のいいところ。
「読書」と表現しているけれど、感覚は風景を眺めるときのそれに似ているかも。
ぜひ、ゆったりと言葉を眺めてみてください。
心に残ったことは書き留める/調べる
歳時記には「季語の簡単な説明」しか書かれていません。
というのも、歳時記は俳句を作るときに活用されるもの。そこに記されている言葉の説明が重要なのではなく、その言葉を実際に「体感」した作者が言葉の中にどのような感覚を込めるかが重要だからです。

「いま」に関わるところを読むうちに、この感覚は自然と身に付くと思う◎
そして、特に心が動いた言葉、興味を抱いた言葉はノートに書き留めたり、自分でさらに詳しく調べたりしてみてください。
風習については、関西と関東ではだいぶ趣が異なるものもありますし、不思議な言い伝えが残されているものもあって、調べるととても面白いです。

最近の例:初金比羅と東海道五十三次

初金毘羅を調べたとき、歌川広重の東海道五十三次「沼津」の天狗マン(画面中央)が金比羅参り中だったと知って感動。
白装束に身を包み、天狗の面を背負って歩くのが一般的で、天狗のお面は金比羅さんに奉納したのだそう。
調べ物に時間がかけられるときは、贅沢に時間をかけてとことん調べています。
歳時記を、もっと楽しむために
好きな俳人・詩人を見つけてみる
歳時記には、その季語を使った俳句も掲載されています。

言葉の説明だけじゃなくて、俳句もぜひ読んでみて◎
季語と合わせて俳句にも触れ、お気に入りの作品をメモしていくうちに、この人の作品好きだなと思う人が浮かび上がってくると思います。
好きな俳人の句から新たな言葉、知らなかった世界に出会うこともかなりたくさんあるので、お気に入りの俳人が見つかったら句集を買って読んでみてください◎
全然興味のない季語でも、推しが俳句を書いているというだけで「おっ、読むか」となる不思議。「好き」は世界を広げる原動力……!
歳時記と合わせて読みたい俳人・詩人
「歳時記を読む」ときにぜひ触れてほしい人たちを主観に基づいてご紹介します。
- 松尾芭蕉
- 井上井月
- 正岡子規
- 高浜虚子
- 【詩人】八木重吉
歳時記と合わせて読みたい作品
季語が指す内容が現在と異なることがあります。
この「違い」をきっかけにたどり着くことができる「発見」は、どれも珠玉の逸品揃い。
たとえば「花見」という言葉。現在では桜のイメージですが、万葉集では花見といえば「梅」。
桜が花見の対象となったのは嵯峨天皇の宴がきっかけとされていて、庶民に桜の花見が浸透したのは享保の改革で風俗が取り締られた頃のこと。改革で取り締まった遊びの代わりとして幕府が「桜の花見」を奨励し、ほぼ同時期に堤防沿いには桜が植えられるようになりました。ちなみに、これは「花見客が訪れ、堤防が踏み固められて強固になる」という効果を狙ったもの。
ぜひ、季語の「違い」にも注目して歳時記を読んでみてください🌸
- 古今和歌集・新古今和歌集
- 千載和歌集・金葉和歌集
- 万葉集
ルームメイトさんのおすすめ
山本健吉さんの「ことばの歳時記」おすすめです。
歳時記を編纂された方の本で角川ソフィア文庫で出ています。ー JERRY-MIJINKO さん







