荒川へ五色桜を見に行ってきたよ:「一望彩雲」の桜の名所
荒川堤には「桜堤」と名付けられた場所があります。明治から昭和初期にかけて、さまざまな種類の桜が植えられていた場所です。
五色の霞がたなびくように見えることから「一望彩雲」「荒川堤の五色桜」と呼ばれ、都内でも有数の桜の名所として知られた荒川堤ですが、工場の煙害や排気ガス・荒川放水路工事や戦争といった要因が重なり伐採され、衰退してしまいました。
その後、当時の五色桜を復活させようと尽力した人々の活動により、荒川の河川敷に「五色の桜」が蘇ります。
今回は、この「五色桜」の堤防をゆったり歩いてみようと思います🌸

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桜といえば「ソメイヨシノ」?
明治時代、文明開化・西洋化のため庭園が取り潰されると同時に、そこに植えられていた数多くの栽培品種の桜が伐採されてしまいます。
代わりに植えられるようになったのがソメイヨシノ。
西洋化が進む中で、桜の品種が失われてゆく現状を憂いた駒込の植木職人・高木孫右衛門は多くの栽培品種の枝を採取し、自宅の庭で育てはじめます。

自分の家に桜を集めるって、すごい……!
これに目を付けたのが江北地区戸長(後に江北村村長)・清水謙吾。
村おこしとして荒川堤に多くの品種による桜並木を作ることを高木に提案し、荒川堤に色とりどりの桜が咲くようになります。
この堤防は「五色桜」として評判となり、多くの栽培品種が小石川植物園などに保存されることになります。
第二次世界大戦では荒川堤も壊滅的な被害を受け、戦中物資として桜の木も伐採されてしまいますが、埼玉県川口市安行の植木業者・小清水亀之助らが品種の保護に尽力。
戦後、五色桜を復活させようと立ち上がった市民や研究機関の尽力により、復活したのが現在の荒川河川敷・五色桜というわけなのです。
高速道路のすぐそばに、桜
荒川河川敷は、赤羽駅から国際興業バスに乗って鹿浜橋まで移動したらすぐ。

北千住駅からもバスがあるみたい!
バスを降りるとすぐに高速道路の入り口が見えます。
この下をくぐって土手に上がると、目の前に荒川が広がります🌟

写真右手に桜が見えているあたりが桜堤の入り口。
すぐそばが高速道路ということで、結構な排気音が響いてきます。排ガスで桜がだめになってしまった歴史にも納得……!
入り口ですでに感じる「五色」の気配
桜並木に足を踏み入れた瞬間、桜の表情の豊かさに驚くはず。
ソメイヨシノだけの桜並木とは異なり、咲き方や色がすべて異なるため「桜ってこんなに個性豊かだったのか!」と驚くと思います 🌸

ほかの場所ではなかなか見ることができない桜もあるよ!
鬱金桜
桜堤の入り口で見ることができる黄緑色の桜。
緑色に見えるのは、花にクロロフィルを含む葉緑体がたくさん入っているから。
ちなみに、花の中に含まれる葉緑体よりもカロチノイドのほうが多い場合は、ウコンのように黄色になります。
「緑じゃん!」と思うかもしれませんが、これでも黄色っぽいほうの緑。
園内にはさらに緑色の強い桜が植えられています。

御車返し(みくるまがえし)
こちらは一重と八重の桜がひとつの枝に咲くという珍しい桜。
その昔、牛車でこの桜の下を通りかかった貴族が「一重だ!」「いや八重だ!」と言い争いになり、「では確認しに行こうではないか」ということで牛車を引き返させたというお話が名前の由来になっています。
遠目に見ると綿雲のようにふわふわした姿がとてもゴージャス。
御車返しの雰囲気がお好きな方は、園内で「白妙」「高砂」のふたつの桜を探してみてください 🌸

ふたつともさらにふわふわの桜です◎

御衣黄(ギョイコウ)
これが最強に緑の桜です(伊佐奈調べ)。
かつて、貴族が身につけた萌黄色の衣が名前の由来。

透け感のある緑がほんとうに美しい……!
遠くからだと葉桜に見える可能性が高いです。
周囲の桜が見ごろを迎えているときは特に埋もれてしまいがちなので、御衣黄を探すときは「葉桜」をキーワードに探してみるのがおすすめ。
荒川の五色桜堤では「白妙」「高砂」のある広場の周辺に植えられています。


桜の突然変異と品種改良
桜は突然変異を起こしやすい植物として知られています。
品種を超えて交配することもある特性を生かして、古くからたくさんの園芸品種が作られてきた歴史があるのです。
近年では重イオンビームを照射することで人工的に園芸品種を開発する試みも実施されています。

研究で扱っている粒子線とこんな場所で出会うなんて驚き🌸
御衣黄と重イオンビーム
重イオンビームとは、炭素などの重い原子を加速して照射する放射線の一種。
標的に対して、X線よりも局所的かつ強いエネルギーを与えることができるのが特徴です。

狙った部分だけに強いエネルギーを与えることができるということは、DNAを効果的に切断できるということ!
がん治療に応用されたり、品種改良に用いられることの多い放射線です。
この重イオンビームを御衣黄に照射することで生まれたのが仁科蔵王。
理化学研究所の加速器「リングサイクロトロン」で発生させた重イオンビームを照射し、突然変異を誘発させてつくり出した新種のサクラです。
咲き始めは淡黄緑白色、終わりの頃には淡黄ピンクに変化する美しい桜とのこと……いつか本物を見に行きたい 🌸
今回作成したノート
今回も旅の前にノートを作りました。
桜と堤の歴史についてのまとめはルーズリーフに、化学物質や調べたいことリストなどのメモはミニノートを使ってまとめています。

ポイントは筆記量に合わせてノートサイズを選ぶこと!
すべての情報を1冊のノートにまとめる方法もありますが、ルーズリーフだと余白が目立つ……という理由で調べたことメモを躊躇することが多かったのですが、一瞬の気づきをあとから思い出すことができるとは限りません。
思いついたときに書く、調べたときにメモをするのが一番! ということでミニノートを活用するようになってからは、あとでノートを振り返ったときに意外な発見をすることも増えました。
興味の赴くままに調べたことがあとでつながる、という学びはもちろん、まったく別の分野で「この間しらべたアレだ……!」と意外な関連性が見つかることも。
気になったらすぐ調べてとにかくメモ、おすすめです🌟




